「ひかりのギャラリー」「対話のギャラリー」
竣工年 | 2006年 |
所在地 | 東京都立川市 |
概略
礼拝と鑑賞。どちらも、目の前にある対象物を通してそれが内に包んでいる大きな世界を想像するという点でよく似ている。仏像を目の前にして祈る。それは経験や知識を超えた存在や力を信頼して、自覚的に自己を委ねていく態度を必要とする。鑑賞でもまったく同じである。どちらも日常生活の延長上にある心象風景との真摯な対話であり、そしてどちらも「ひかり」を媒介に体験される。
ふたつのギャラリーは東京・立川にある仏教教団の寺院内にオープンした。新しい試みとして、通常は礼拝のために使われるスペースに仏教美術の展示機能をもたせ、一般向けにも公開する。この目的のために、照明家の豊久将三、文化プロデューサーの迫村裕子と私とでチームが組織された。装飾を取り去った抽象的な空間の中に、礼拝と鑑賞という行為を融合させる。これをテーマに、仏教的な空間概念を示す「ひかり」の在り方と、礼拝対象物を展示作品として鑑賞させる繊細な「ひかり」を同時に体験できる空間の実現を試みた。