tibet

チベット密教美術展

会期 1997年2月22日〜4月14日(東京)
1997年4月26日〜6月15日(山口)
1997年7月1日〜8月31日(千葉)
会場 東武美術館(東京)
山口県立美術館(山口)
千葉市美術館(千葉)
主催 東武美術館
山口県立美術館
千葉市美術館
朝日新聞社
山口朝日放送
九州朝日放送
企画協力 ニューヨーク・チベットハウス
協力 日本航空
凸版印刷

概略

いままで知られることの少なかったチベット密教美術の精髄を紹介する「天空の秘宝 チベット密教美術展」を開催いたします。

チベットに仏教がもたらされたのは、7世紀のことといわれています。のちに法王として尊崇されたチベット王ソンツェン・ガンポが、当時の仏教先進国、ネパールと中国からそれぞれ妃を迎えたのが契機です。仏教を国家の基盤に導入することで、チベットに安寧がもたらされました。

チベットは平均海抜が4,800メートルを越し、周囲をヒマラヤ、崑崙、カラコルムなどの山脈に囲まれ、世界でもっともたかいところにある広大な地域です。その厳しくも豊かな自然に抱かれ、7世紀に伝えられた仏教は成熟を深め、多くの優れた学者たちの手で密教教理が体系化されました。そのタントラの技法は、さまざまな段階から覚りの境地に向けて修行できるように工夫されています。その大きな手助けとなるのが美術でした。チベットで磨き上げられた「聖なる美術 “Sacred Art”」は、その美術に接する人々を仏の教えに導くための大切な手段(方便)だったのです。チベットで発達したさまざまな宗派ごとに、その美術の技法と様式は師から弟子へと受け継がれ、密教教理だけでなく、その美術も成熟の度合いを深めていきました。

今回出品されているのは、チベットにおいて仏教が盛んになっていった9世紀から完成の域に達した19世紀までの逸品180余点です。作品選定にあたっては、モンゴル、中央アジアなど広くその様式が伝えられた諸地域の作品も含めました。1996年にドイツのボンではじまったこの国際巡回展がスペインのバルセロナを経て、もうひとつの密教の国、日本で開催できることを光栄に思います。我が国においても、中国から伝えられ発展した密教が存在しますが、インドの後期密教の要素も取り入れているチベット密教とは、いささか異なります。その相違をみなさまの目で確かめていただければ幸いです。

最期に、名品の数々を快くご出品下さいました世界各地の美術館、博物館、ご所蔵家のみなさま、並びに、この国際巡回展の実現のためにご協力いただきましたニューヨーク・チベットハウスに厚くお礼申し上げます。また、ご協賛いただきました朝日ソーラー、ご協力いただきました日本航空、凸版印刷、ならびにご尽力を賜りました関係各位にお礼申し上げます。